こんにちは。

さて今回は。
温度管理モードで、複数のコイルや、一つのコイルでも素性の違う状態のものが混じっているコイルを使うと。
どのようなことが起こるのか。
軽く、シミュレートしてみたいと思います。

いやあ、、、 軽く?。
tcpa

さて。

電子タバコにおける温度管理とは、「温度によって抵抗値が変化しやすい素材」を使い、抵抗値の変化を温度に紐付けて制御していく形態が、一般的です。

温度によって抵抗値が変化する、その係数を近似したものを「TCR」、温度管理係数と言ったりします。
このへん詳しくは、以下参照。
 URL:http://ecig.eucaly.net/archives/1132183.html

まあ今回は、この「TCR」を使って、仮想的に温度と抵抗値を算出し、これまた仮想的に温度管理実装をしてみて、「MODが設定している温度変化」と、「コイルの温度変化」がどう変わっていくのか、エクセルさんでがーっと計算させてみました、とさ。

まず下準備。

上のBlogにある、抵抗値から温度な式と。
tcrshiki1

そこから弄って、温度から抵抗値の式を作ってみます。
tcrshiki2

まあ、ドライバーン計算してもつまらんので。
グリセリンを熱することにしてみましょうか。

グリセリンの比熱は、こんな感じ。
gurihinetsu

 参考:http://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01030.htm

温度によって比熱は多少変化するようですが、演算式圧縮のため、「20度」の値、「2.39J/gC」を使うことにします。
これは、「グリセリンを1gを1度上げるのに必要な熱量(J)」を表しています。

材料が揃ったら、演算式の組み立て。
まずはテスト。
tcrkeisan1

検算検算、、、うん、、、うまくいってるっぽいです。

さて次に、演算上の「温度管理MOD」を作ります。
・TCR制御
・プリヒートなど無し!
・0.1秒単位制御
・設定温度以下の場合、定格出力
・設定温度以上の場合、プロテクト出力
にしてみました。

そしてアトマイザーの定義。
適宜放熱を入れ込まないと、温度が上がりっぱなしになっちゃうので。
とりあえず乱暴ですが、「1秒あたり設定度温度リニアに下がる」計算で。

んで、シミュレーション条件。
コイルの直列並列で見てみます。
が、特に直列は、「一つのコイルの中で条件が違う」場合にも、当てはまります。
駐訳として、そんな条件を書いてみます。

1.コイルが直列で、お互いに熱関係が独立している
 *デュアルコイル対応のアトマに、シングルでコイル部分が2つあるようなビルドを行った場合とか

2.コイルが直列で、熱関係を共有している
 *クラプトンコイルなど、コイルの太さが変化する場合とか
 *マイクロコイルビルドしようとして、一部隙間空いちゃったりした場合とか

3.コイルが並列

の3パターンで!。

んで、ビルドや電力、使用線材とかのパラメータは、以下の通りな感じで。
使用線材:Ni200 ( TCR:650 )
合成抵抗の目標値:0.1Ω
コイル数:2個
設定出力:20W
プロテクト出力:1W
設定温度:230度
温めるグリセリンの量:0.02g
温度下降係数:100度
温度単位:摂氏 (C)

そして演算の概要:
・それぞれのコイル温度から、それぞれのコイル抵抗値を算出
・コイルの合成抵抗値から、MODが認識している温度を算出
・温度が設定温度以下なら設定出力を、それ以外ならプロテクト出力を行う
・出力と合成抵抗値から、直列時は電流、並列時は電圧を算出
・個別抵抗値と算出した電流/電圧で、それぞれの抵抗に掛かる電力を算出
・電力を単位時間当たりに掛かったとして、それぞれのコイル温度を算出
て感じです。

そんな条件で、計算用のシートを作ってみました。
tcrkeisan2

まず、直列時0.05Ωが2個、並列時0.2Ωが2個、同じ抵抗がある場合のシミュレート結果。
tcrgkintou
横軸が時間、0.1秒単位
縦軸の左側と、明るい色のグラフが温度
縦軸の右側と、暗い色のグラフが電力です。

まあ同一条件になるらしく、これでは直列並列の違いはありませんでした。
それぞれのコイルの温度と、MODが認識している温度が同一なので、温度プロットは見かけ上1本になりました。
 *重なってます。

では次に、直列で。
0.01Ωの差、つまり抵抗1は0.055Ω、抵抗2は0.045Ωにして、プロットしてみました。

直列、互いのコイル温度に相関性が無い場合
tcrgser1

直列、互いのコイル温度に相関性がある場合
tcrgser2

互いのコイルに温度相関性が無い場合、不均衡になると、MODは温度を高めに認識してしまうようです。
互いのコイルに温度相関性が有る場合、コイル温度に差がつくことがわかります。
今回の条件では、プロテクト時で70度、そこから制御が入るに従い、片側上昇、片側下降していきます。
いずれの場合も、抵抗値が高い方が発熱しています。

並列時はどうでしょう。

差が見えづらかったので、抵抗1を0.21Ω、抵抗2を0.19Ω、差を0.02Ωとしてみました。
tcrgpara
直列時と違い、抵抗値が低い方がより発熱しています。
今回の条件では、リニアに変化しており、約30度の幅をもって安定しているように見えます。

次に、直列温度相関なし、抵抗値同一で。
温度下降係数を弄ってみました。
これは例えば、同じコイルの中でも、グリセリン供給量に差が合ったり、空気の当たり具合の差分があったりして。
「冷え方」に差がある場合のシミュレーションになります。
抵抗1を100、抵抗2を90にしてみました。
tcrgserondo
今回の条件では、温度連動時の直列で、抵抗値に変化がある場合と同じく、コイル温度が設定温度から乖離していくように見えます。

さて考察。

そもそも、条件を弄ると。
「並列時はリニア」「直列時は乖離」方向に値が変化していくことが、グラフから読み取れます。
これは何故か?。

オイラは、直列並列の違いと、TCRによる温度/抵抗値係数の変化が関係しているのかな、と考えています。

コイルにかかる電気は。
直列時は電流が等しく、並列時は電圧が等しくなります。
オームの法則は、「電圧=電流x抵抗」、もしくは「電流=電圧÷抵抗」なので。
直列時は抵抗値が高い程高い電圧が、並列時は抵抗値が低い程高い電流が流れます。
で、温度管理用には、温度係数が高い素材をコイルとして使うので。
抵抗に電力を掛ける、つまり発熱させると、抵抗値が上がります。
抵抗値が上がるので、直列時は抵抗値を掛けている為乖離、並列時は抵抗値を割っているため収斂≒リニアになるのではないか、と考えます。

まあ、こんな感じです。

直列時乖離すること、これが温度管理でイマイチ上手くビルド出来ない場合の、原因の一つかも知れません。

シングルビルドでも、
・マイクロにしたつもりで途中スペース
・コイルの隙間が不均一
・ジュースウェルからの供給の遠さが違い
・コイルへの空気の当たり方の違い
などから、一つのコイルの中で条件が変わること、ままあるかと。

そして、一つのコイルの中で条件が変わる。
それは、「直列に別のコイルがある」ことと同一だとオイラは考えます。

で、コイルの温度傾斜が偏り、更にそれがエンハンスされることで、乖離していき、結果
・コイルのごく一部のみが加熱して抵抗値が上がりすぎ、ほとんど煙が出ない
・コイルの一部が激しく発熱し、コゲが発生する

などの現象が起きるのかと。

古典的な要件ではありますが、
・温度管理のコイルは、シングルでスペースド

そして、
・なるべくコイルを取り巻く環境に偏りが出ないような、「中心」 へのビルド

がキホンとして大切なのかな、と。

もちろんエンハンス/乖離をむしろ積極的に使い、複数沸点のあるリキッドを同時に炊いたりするような状況を作り出すことも、勿論アリかと思います。
というか、無意識にやってるんじゃないかな?。
カンタルとTCRコイルで、温度管理しなくても味わいが異なる!、ての、このあたりに要因が有るのかも知れません。

以上、温度管理の挙動について、でした!。