こんにちは。
さて今回は。
「MODの抵抗値」に着目して。
危険なビルドが、どのへんにあるのか。
考察していきたいと思います。
まず、MODの抵抗値が、なぜ危険な成分となりうるのか?。
それはひとえに、「電子タバコのコイルの抵抗が低いから」、また、「デバイスとしてコンパクトだから」です。
通常の弱電な電気設計では導通扱いとしてしまいげな、1Ω以下の領域を、通常の強電な電気設計では絶対やらかさない、細い領域に対して求めているからです。
ってオイラも、実際にMODの抵抗値測るまでは、「電池の内部抵抗のほうが、MODの抵抗値より高い」と思っていたのですが。
どうやら、そうでもないみたいなので。
注意喚起の意味も兼ねて、考察していきたいと思います。
まずそもそも、MODの抵抗値が高いと、どういうことが起きるか?。
これは単純です、MODが発熱します。
電池からの接続を見ると、「MODの抵抗値」と、「コイルの抵抗値」が、直列につながっている状態と同じこと。
直列なので、電圧は変わりますが、電流は変わりません。
極端な計算例だと:
・MODの抵抗値が1Ω、コイルの抵抗値が10Ωだとして。
・直列なので、電池側からは「10+1」、つまり11Ωだと見える。
・11Ωで、電池電圧が4.2Vだとすると、オームの法則、「電流=電圧÷抵抗」から
・「約0.38A」流れる
・この際、コイルにも、MODにも、0.38A流れている
・それぞれに掛かる電圧は異なる、オームの法則、「電圧=電流×抵抗」から
・コイル:3.8V、 MOD:0.38V掛かる
・消費電力は「電力=電圧×電流」なので
・コイル:約1.4W、MOD:約0.14Wとなる
・どっちも発熱以外のお仕事をしないので、そのまま「発熱」になる
てな感じで、計算できます。
まあ、狭い領域で電力=発熱をかますと、どんなことになるのは、皆様よーくご存じだと思います。
まあ、、、電子タバコのアトマコイルで起きてる現象、そのままですね。
さて。
MODが発熱すると、何が起こるか。
まずもちろん、電池が熱せられます。
リチウムイオン電池は、通常雰囲気温度60度までの状態で使用せよ、と言われています。
電池が熱せられると、、、。

緑の線がリチウムイオン電池の中の分子分布、赤い線が要求エネルギーの線です。
温度が高いほど、緑の線より上に赤い線がいって、反応に参加する分子が増える、みたいです。
つまり、激しく反応するのですね。
激しく反応するとどうなるか。
まあ爆発します。

これはリチウムイオン電池の加熱試験。
試験なのでゆっくり温度上げていますが、200度を超えたあたりで温度上昇が指数関数的になり、 比例してガス温度など上がり、発煙、発火している様子が見て取れます。
また、オレンジの線は電池の電圧、150度近辺から不安定になり、180度近辺で急激に何かやらかされていることも確認できます。
あくまでもこの実験ベースではありますが、「150度超えちゃホントにダメ」てのが分かるかと。
さてでは、MODの抵抗値。
前回計測結果は、以下の通り。

実際、「MODの発熱」は、電池も込みで考えるのが正解な気もするので。
ちゃんとメンテしている状態で、「MODの抵抗値20ミリオーム」+「電池の内部抵抗30ミリオーム」、つまり50ミリオームくらいを最低の抵抗値と考えるのが良さそうです。
あ、ちなみに、1Ωは1000ミリオーム、メートルとミリメートルの関係と一緒です。
この値を基に、コイルの抵抗値と、MOD/コイルの発熱を、プロットしてみました。
MOD抵抗値が50ミリオーム~90ミリオームの場合:
MODの発熱量:

コイルの発熱量

MOD抵抗値が、0.1Ω~0.3Ωの場合
MODの発熱量

コイルの発熱量

前回の記事でも書きましたが、MODの発熱量が10W以下になるのを暫定的に「安全」と定義するのであれば。
0.1Ωを切る、優秀なMODの場合で0.3Ω以下のコイルを、0.1Ωを上回る、抵抗値の高いMODの場合、0.5Ω以下のコイルを使うのは、MOD側が10W以上発熱するため、「危険」だと定義できます。
「でもそれじゃ30~40Wまでしか楽しめない」、その通りです。
もっと高い電力で楽しみたいときは。
スタックすればいいのではないかと。
8.4V時のグラフは、こんな感じです。
MODの発熱

コイルの発熱

2スタックMODで、おおむね1Ωビルドをしてやれば、MODの抵抗成分にもよりますが、おおむね50~60W領域は楽しめそうです。
あ、もちろんメカニカルMODの場合であって、電圧を変換することができる、テクニカルMODの場合は、分けて考える必要があります。
ですが、テクニカルMODでも、「MODの抵抗値」は、引っ掛かってきます。
例えば、1セル対応で効率85%、終止電圧3VなテクニカルMOD基板を使用する場合。
MODの「電池側」にかかる抵抗負荷は、以下な感じです。

これは「メカニカルMODでこの抵抗値のコイルを繋げている」のと同じ状況だと定義できます。
歴史的に、「30W」が一時期テクニカルMODの最大値だった理由が、なんとなく見えてきます。
30W時で、大体0.3Ωなのですね。
さてでは。
MODの、組み込み具合と、抵抗値の変化について。
前回計測したMODのうち、Vanillaの銅とステンレスを使って、MODの締め込み具合の差を見てみましょう。
前回計測値は、こんな感じ。

まず、Vanillaの銅のテレスコ部分を伸ばし、アトマ側に隙間を作ってみました。

ピンは変更してあるため、銀素材です。

この状態だと、抵抗値はこんな感じ。

締め込みきった状態に対して、43ミリオーム、抵抗成分が増えました。
次にVanillaステンレスで。
スイッチ部分に、わずかな隙間ができるように組んでみました。

スイッチを押すとしっかり端子が電池に接触しますが、「隙間は維持」されている状態です。
この状態での計測値は、以下の通り。

70ミリオームも差分が出ました。
結構やらかしがちな、「メカニカルMODで隙間を作る」こと、絶対NGぽいです。
理由は、電流が通過するとこに対して、スレッド面での接触ではなく、むしろ端面での接触が、抵抗低下に対して支配的であることかなと。
端面の接触があまりない、Rambleの抵抗値が比較的高いのも、これで説明が可能かなと。
最後に、MODの構造による影響。
接点部分の抵抗成分は、点より線、線より面のほうが低くなります。
例えば、ピアノ線ばねでのこんな電池保持構造、MODに使われているの、ときたま見かけますが。

0.2オーム以上の抵抗を持ってたりするようです。
大変危険なので、この構造のMODは、高い電力を掛けない、もしくは低い抵抗値でビルドしないことをお勧めします。
また、イモネジで導通を取るタイプのMODもあります。

イモネジ構造自体は、アトマ側のポジティブピンにも使われていたりしますが。
電池接触部分の「平面度」を、かなりシビアにご確認ください。
鋳造しっぱなし、切りっぱなしのイモネジは、平面がとれていなく、接触面積がせまーい!、なんてことがあります。
電池保持構造としては、最低でも「線」。

できれば「面」での接触が確保されていることが肝要だと思います。

また、上記のメカニカルMODでの実験から、「スレッド部分は接触抵抗が高い」ことが伺えます。
なので、スレッド部分のみで電流経路を構築しているMODは、比較的危ないでしょう。
大人しい抵抗値や電力で楽しむことをお勧めします。
ハイブリッドのアダプターとか、チューブ式の電池保持構造を持つテクニカルMODとかね。

特に素材劣化時、「電流通過の一部だけ発熱する」ことがあるようです。

これが電池と熱的に接触している部分で起きたら、、、電池が熱せられて、危ない事態になること、容易に想像が可能です。
くれぐれも、ご安全に!。
以上です。
*すみません書き散らかっておりますが、なんか熱あってぼーっとしているのです・・・。
参考文献:
・第9回 リチウムイオン電池の反応速度と活性化エネルギー
http://www.daiwa-can.co.jp/energy/info/column_09.html
・リチウムイオン電池の安全性評価試験における発生事象について
さて今回は。
「MODの抵抗値」に着目して。
危険なビルドが、どのへんにあるのか。
考察していきたいと思います。
まず、MODの抵抗値が、なぜ危険な成分となりうるのか?。
それはひとえに、「電子タバコのコイルの抵抗が低いから」、また、「デバイスとしてコンパクトだから」です。
通常の弱電な電気設計では導通扱いとしてしまいげな、1Ω以下の領域を、通常の強電な電気設計では絶対やらかさない、細い領域に対して求めているからです。
ってオイラも、実際にMODの抵抗値測るまでは、「電池の内部抵抗のほうが、MODの抵抗値より高い」と思っていたのですが。
どうやら、そうでもないみたいなので。
注意喚起の意味も兼ねて、考察していきたいと思います。
まずそもそも、MODの抵抗値が高いと、どういうことが起きるか?。
これは単純です、MODが発熱します。
電池からの接続を見ると、「MODの抵抗値」と、「コイルの抵抗値」が、直列につながっている状態と同じこと。
直列なので、電圧は変わりますが、電流は変わりません。
極端な計算例だと:
・MODの抵抗値が1Ω、コイルの抵抗値が10Ωだとして。
・直列なので、電池側からは「10+1」、つまり11Ωだと見える。
・11Ωで、電池電圧が4.2Vだとすると、オームの法則、「電流=電圧÷抵抗」から
・「約0.38A」流れる
・この際、コイルにも、MODにも、0.38A流れている
・それぞれに掛かる電圧は異なる、オームの法則、「電圧=電流×抵抗」から
・コイル:3.8V、 MOD:0.38V掛かる
・消費電力は「電力=電圧×電流」なので
・コイル:約1.4W、MOD:約0.14Wとなる
・どっちも発熱以外のお仕事をしないので、そのまま「発熱」になる
てな感じで、計算できます。
まあ、狭い領域で電力=発熱をかますと、どんなことになるのは、皆様よーくご存じだと思います。
まあ、、、電子タバコのアトマコイルで起きてる現象、そのままですね。
さて。
MODが発熱すると、何が起こるか。
まずもちろん、電池が熱せられます。
リチウムイオン電池は、通常雰囲気温度60度までの状態で使用せよ、と言われています。
電池が熱せられると、、、。

緑の線がリチウムイオン電池の中の分子分布、赤い線が要求エネルギーの線です。
温度が高いほど、緑の線より上に赤い線がいって、反応に参加する分子が増える、みたいです。
つまり、激しく反応するのですね。
激しく反応するとどうなるか。
まあ爆発します。

これはリチウムイオン電池の加熱試験。
試験なのでゆっくり温度上げていますが、200度を超えたあたりで温度上昇が指数関数的になり、 比例してガス温度など上がり、発煙、発火している様子が見て取れます。
また、オレンジの線は電池の電圧、150度近辺から不安定になり、180度近辺で急激に何かやらかされていることも確認できます。
あくまでもこの実験ベースではありますが、「150度超えちゃホントにダメ」てのが分かるかと。
さてでは、MODの抵抗値。
前回計測結果は、以下の通り。

実際、「MODの発熱」は、電池も込みで考えるのが正解な気もするので。
ちゃんとメンテしている状態で、「MODの抵抗値20ミリオーム」+「電池の内部抵抗30ミリオーム」、つまり50ミリオームくらいを最低の抵抗値と考えるのが良さそうです。
あ、ちなみに、1Ωは1000ミリオーム、メートルとミリメートルの関係と一緒です。
この値を基に、コイルの抵抗値と、MOD/コイルの発熱を、プロットしてみました。
MOD抵抗値が50ミリオーム~90ミリオームの場合:
MODの発熱量:

コイルの発熱量

MOD抵抗値が、0.1Ω~0.3Ωの場合
MODの発熱量

コイルの発熱量

前回の記事でも書きましたが、MODの発熱量が10W以下になるのを暫定的に「安全」と定義するのであれば。
0.1Ωを切る、優秀なMODの場合で0.3Ω以下のコイルを、0.1Ωを上回る、抵抗値の高いMODの場合、0.5Ω以下のコイルを使うのは、MOD側が10W以上発熱するため、「危険」だと定義できます。
「でもそれじゃ30~40Wまでしか楽しめない」、その通りです。
もっと高い電力で楽しみたいときは。
スタックすればいいのではないかと。
8.4V時のグラフは、こんな感じです。
MODの発熱

コイルの発熱

2スタックMODで、おおむね1Ωビルドをしてやれば、MODの抵抗成分にもよりますが、おおむね50~60W領域は楽しめそうです。
あ、もちろんメカニカルMODの場合であって、電圧を変換することができる、テクニカルMODの場合は、分けて考える必要があります。
ですが、テクニカルMODでも、「MODの抵抗値」は、引っ掛かってきます。
例えば、1セル対応で効率85%、終止電圧3VなテクニカルMOD基板を使用する場合。
MODの「電池側」にかかる抵抗負荷は、以下な感じです。

これは「メカニカルMODでこの抵抗値のコイルを繋げている」のと同じ状況だと定義できます。
歴史的に、「30W」が一時期テクニカルMODの最大値だった理由が、なんとなく見えてきます。
30W時で、大体0.3Ωなのですね。
さてでは。
MODの、組み込み具合と、抵抗値の変化について。
前回計測したMODのうち、Vanillaの銅とステンレスを使って、MODの締め込み具合の差を見てみましょう。
前回計測値は、こんな感じ。

まず、Vanillaの銅のテレスコ部分を伸ばし、アトマ側に隙間を作ってみました。

ピンは変更してあるため、銀素材です。

この状態だと、抵抗値はこんな感じ。

締め込みきった状態に対して、43ミリオーム、抵抗成分が増えました。
次にVanillaステンレスで。
スイッチ部分に、わずかな隙間ができるように組んでみました。

スイッチを押すとしっかり端子が電池に接触しますが、「隙間は維持」されている状態です。
この状態での計測値は、以下の通り。

70ミリオームも差分が出ました。
結構やらかしがちな、「メカニカルMODで隙間を作る」こと、絶対NGぽいです。
理由は、電流が通過するとこに対して、スレッド面での接触ではなく、むしろ端面での接触が、抵抗低下に対して支配的であることかなと。
端面の接触があまりない、Rambleの抵抗値が比較的高いのも、これで説明が可能かなと。
最後に、MODの構造による影響。
接点部分の抵抗成分は、点より線、線より面のほうが低くなります。
例えば、ピアノ線ばねでのこんな電池保持構造、MODに使われているの、ときたま見かけますが。

0.2オーム以上の抵抗を持ってたりするようです。
大変危険なので、この構造のMODは、高い電力を掛けない、もしくは低い抵抗値でビルドしないことをお勧めします。
また、イモネジで導通を取るタイプのMODもあります。

イモネジ構造自体は、アトマ側のポジティブピンにも使われていたりしますが。
電池接触部分の「平面度」を、かなりシビアにご確認ください。
鋳造しっぱなし、切りっぱなしのイモネジは、平面がとれていなく、接触面積がせまーい!、なんてことがあります。
電池保持構造としては、最低でも「線」。

できれば「面」での接触が確保されていることが肝要だと思います。

また、上記のメカニカルMODでの実験から、「スレッド部分は接触抵抗が高い」ことが伺えます。
なので、スレッド部分のみで電流経路を構築しているMODは、比較的危ないでしょう。
大人しい抵抗値や電力で楽しむことをお勧めします。
ハイブリッドのアダプターとか、チューブ式の電池保持構造を持つテクニカルMODとかね。

特に素材劣化時、「電流通過の一部だけ発熱する」ことがあるようです。

これが電池と熱的に接触している部分で起きたら、、、電池が熱せられて、危ない事態になること、容易に想像が可能です。
くれぐれも、ご安全に!。
以上です。
*すみません書き散らかっておりますが、なんか熱あってぼーっとしているのです・・・。
参考文献:
・第9回 リチウムイオン電池の反応速度と活性化エネルギー
http://www.daiwa-can.co.jp/energy/info/column_09.html
・リチウムイオン電池の安全性評価試験における発生事象について
https://www.ntsel.go.jp/forum/2012files/pt_21.pdf
・ねじ締めによる導体接続部の発熱に関する研究(第 1報)
・ねじ締めによる導体接続部の発熱に関する研究(第 1報)