こんにちは。

さて今回は。
電子タバコで良く使われている。
18650リチウムイオン電池の、温度回りについて。
掘り下げていきたいと思います。

さて。

まず、18650なリチウムイオン電池は。
必ず、ガス排出弁がついています。
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まあそもそも、なんでコレが必要なのか、そして電池がヤバい状況にならずに使うには、辺りをね。

まず、リチウムイオン電池の構造から。
まあ正極と負極が、セパレータで分離されつつ、ぐるぐるまきになってるのが、リチウムイオン電池ですが。
正極と負極だけではなく、「リチウムイオン」が染みこんでる、「電解液」が、この間には存在します。
まあクルマ用のバッテリー、鉛蓄電池で言う所の「バッテリー液・希硫酸」ですね。
コイツはどれくらい含まれてるのか。

総務省の文書から読み取ることができます。 
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大体2mlくらい、含まれてるみたいですね。

組成は、リチウムイオンを、有機溶剤に溶かし込んでいる構成のようです。
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例えば、ジエチルカーボネイト。
これは、「炭酸ジエチル」という、エタノールに炭酸をくっつけた構造のものらしく。
物性的には・・・。
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こんな感じ。
沸点が128度、そして、それ自身が発火する発火点は445度ですが、火を貰うと燃えちゃう引火点は、25度です。

非常に乱暴に、炭酸ジエチルだけでリチウムイオン電池の電解液を構成すると、128度まで熱しちゃうと、なんか吹き出しちゃう、ことが分かるかと思います。
実際は他の部材との混ぜモノなので、も少し温度は上のほうだとは思いますが、まあそんな極端な温度にならんでも、リチウムイオン電池は、なんか吹いてしまうのです。

なので、18650電池には、ガス排出弁があるのです。
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もちろん、電解液が吹いてしまった場合、そのリチウムイオン電池は、もう正常ではありません。
ちょっとでも吹かした場合、多分電解液の組成は変化するでしょうし、電解液そのものも容量が減ります。
オイラはイオンについてはよーわからんのですが、ひょっとしたら残った電解液にリチウムイオンが凝集しちゃう、なんてことがあるかも知れません。

どのみち、危ないですよね。

で、多分ですが。
この電解液の組成や薄さをギリギリまで追い込んでるのが、昨今の大容量・大電力取り出し可能なリチウムイオン電池な気がしています。
リチウムイオンを多く含めば、容量が増しますし、また電解液を薄くすれば、それだけ正極と負極の面積を稼ぐことができるから、だと推測!(あくまで予想)。

ですがその分、電池の熱的な余裕が厳しくなってるのかな、と。
論拠は、VTC6のデータシート。

手元にはVTC4~VTC6のデータシートがありますが、VTC6から、「80度制限」が登場しています。
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放電時60度まで、という制限は他のデータシートにもありますが、それとは別に、VTC6の場合、「80度温度カットしない場合は、15Aまでしか使えない」と明記されています。

リチウムイオン電池は、歴史的に「充電」で問題を発生させるケースが多かったので、充電条件は細かく決まっているのですが。
VTC6の場合、「放電条件」も新たに加わっています。
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これ、、、邪推ではありますが。
・電池の設計を攻めすぎて、電池に熱的余裕がない
・電池に使っている電解液の組成上、高温に弱い
あたりが予測できるかな、と。

どのみち、本来、リチウムイオン電池は、温度管理して使うものです。
リチウムイオン電池から電流を取り出したり、充電する時、リチウムイオン電池自体の「内部抵抗」から、電池は必ず発熱します。
この発熱を監視することが、データシート上でも求められています。
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例えば、Lenovoバッテリーの分解写真。
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基板から電池に伸びている、オレンジ色の帯、これが温度センサーです。
指定以上/以下の温度の場合、充放電動作を止めるように設計されてるっぽいのが、分かるかと思います。

さてでは、実際にリチウムイオン電池を吹かした場合、どうなるのか。
Youtubeにチャレンジャブルな動画がいくつかあるので、そこから読み解いてみましょうか。

まず、ガス排出弁の動作例。


まあ、鉄片でショートさせてますが。

まず、ガス排出弁から煙が、そして電解液が軽く吹き出しつつ。
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最後には激しく噴出し、最終的には爆発しています。
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この際、よく見ると。
噴出し、ケースにくっついた電解液が、蒸発しているのが分かるかと。
つまりこの状態で、電池はかなり発熱している、ということが分かるかと思います。

ちょっとわかりづらいですが、VTC4での実験映像も。
 

これは直列に接続、更に屋外で実験しているので、煙の噴出が見えづらいですが。
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右側の電池は手前側から、左側の電池は奥側からガスを噴き出しているのが分かるかと。

では実際、MODに装着している状態で、どうなっているのか。
これは、以下動画から読み取れます。


この動画は本来、「EFESTの電池の放電レート嘘ついてるじゃねえかこの野郎!」的な動画なのですが。
ちょっとそれは置いておいて。

テクニカルMODに装着し、60Wでパフ時、電池が発煙している、貴重な動画だと思います。

発煙状態時、左上のテスターに、アトマ電圧が表示されてます。
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発煙時に設定の「4.2V」から「3.76V」に出力が落ちていますが、「発煙=即電池の出力が停止する」わけではいことが読み取れると思います。

ただ、、、実際は、かなり電池が熱くなってるみたいで。
ガス排出弁から、プツプツと電解液が漏れ出している状況が、記録されています。
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まあ、以上のことから。
・リチウムイオン電池は、「ガス排出弁」が+極近辺に存在する
・「ガス排出弁」からガスが出る契機は、どうやら温度
・ガスが放出されても、電池としての機能は完全には失わない
 *が、ガスを出した電池は電池の組成変化が起きている可能性がある
・「プツプツ」程度のガス放出でも、電池にはダメージが出ている

ことが分かるかと思います。

ちなみにリチウムイオン電池は、缶構造なので。
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クギ挿しなど、極端な状況でなければ、「ガスが出る時は+極近辺」だと思います。
良く、チューブMODで、「-極が底」でかつ「底面側にベントホールがある」構造のものがありますが。
こいつ、実際にガスがちゃんと抜けるのか、なかなかリスキーな感じです。

まあそもそも・・・。
「ガスが出る契機」は、「温度由来」 だと予測出来るので。
温度に気をつけて使っていけば、比較的安全じゃないかな、と思います。
そして「温度」は、「大電流引っ張った時に内部抵抗で電池が発熱するため」なので・・・。

例えば:
 ・メカニカルMODの場合、アトマ組んだ後、満充電の電池を装着し、パフ直後に電池を直ぐに取り出し、握ってみて温度を確かめる
 ・テクニカルMODの場合、使用出力で限界時間(10秒?)までパフってみて、電池を直ぐに取り出し、握ってみて温度を確かめる

あたりかなと。
もちろん、握れなくなるくらい電池が発熱している場合は、もうNG!、危ないのでその電池は即人気の無い所にぶん投げて、神に祈りましょう。
握った時、あたたかみを感じるようであれば、少なくとも人肌より熱くなってる、ということです。
電池は60度以内で使うこと、と、例えばVTCシリーズでは記載されていますが、電池の負荷を考えると、そもそも「人肌以上=40度程度」に1パフでいっちゃってるような使い方は、個人的にはお勧めできません。

特に攻め込んだビルドをする場合や、怪しい電池を使う場合は、抵抗値や放電レートだけでは無く、温度にも気を使って、安全な電子タバコを、楽しんで下さいな。

以上です。 

参考資料:
 ・リチウムイオン電池に係る危険物施設の安全対策のあり方に関する検討報告書
 ・炭酸ジエチル - Wikipedia
 ・ノート PC の認識しないバッテリーを分解 - 8570w blog