こんにちは。

さて今回は。
ちゃんとした放電レート表記の電池を使っているのに、
・DNA系基板で、電池残量が十分あるのに、パフ中に「WEAK BATTERY」表示になる
・VO系基板で、電池残量が十分あるのに、パフ中に「CHECK BATTERY」表示になる
現象について、考察していきたいと思います。

まず、「WEAK BATTERY」表示ですが。
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DNA系基板の場合、「バッテリー残量低下」時に表示されます。

具体的には、eScribe MODタブにある、「セルソフトカットオフ」値以下に電池電圧が下がった時に表示されます。
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セルソフトカットオフとは、「バッテリーがこの電圧以下のときは、使っちゃダメよ」な、いわゆる「終止電圧設定」です。
*一般的な携帯機器をリチウムイオン電池で設計するときは、終止電圧を「3V」とするケースが多いのですが。
 電子タバコは、「要求電流が高すぎる」為、リチウムイオン電池の限界に挑戦し、終止電圧をギリギリにしているみたいです。

でも、そもそもDNAは、セルソフトカットオフ以下にバッテリー電圧が下がっている場合、パフできません。
なんでパフ中に、「WEAK BATTERY」動作に、なるのでしょうか?。

それは、電池の内部抵抗が、関係しています。

電池には内部抵抗があり、電流を引っ張ると、電池の出力電圧が下がります。
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パフ中は当然電流を引っ張るので、電圧が下がって、結果、「WEAK BATTERY」になるのです。
この内部抵抗の値が低いほど、取り出せる電流が大きく、放電レートの高い電池、てことになります。

例えばUS18650VTC4の放電曲線は
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こんな感じ。
黒い線の0.4A取り出し時に比べ、ピンクの30A取り出し時、電圧が下がっていることが分かると思います。

ですが、、、例えばVTC4、3Vで30A取り出す、つまり「90W」でテクニカルMODで炊こうとしたら、多分もっと電圧下がります。

まずひとつ目は効率。

一般的な電力管理のテクニカルMODは、「DDコンバータ」というもので、電力変換をしています。
電力とは「W」ですが、これの計算式は「電圧x電流」。
同じ電力を出したい場合、高電圧だと低電流に、低電圧だと高電流に、そんな関係になります。
そして、現在一般的な、「75W」取り出せる、シングルバッテリーテクニカルMODの場合、結構DDコンバータ部分に無理があるので。
効率「80%」くらいで見るといいでしょう。
つまり、75Wをアトマにかけようとすると、「93.75W」を、電池に求めます。

ふたつ目は、DDコンバータの特性。

DDコンバータは、いわゆる「インバータ動作」をします。
例えば、テクニカルMODが、DDコンバータに「40W」頂戴、とリクエストしたとき。
効率80%だとして、電池からは「50W」引っ張ろうとします。
電池の電圧が4.2Vだったら、「12A」引っ張ろうとします。

しかし、VTC4の負荷グラフを見るに。
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10Aの青の線に注目してください。
左端、いきなりグラフが「3.7V」くらいから始まっています。
10A引っ張ろうとすると、もともと「4.2V」だった電池電圧が、「3.7V」に落ちるのです。
するとDDコンバータは、やっぱり50W欲しいので。
電池に「13.5A」要求します。
そすると電池電圧がもちょっと下がって。
DDコンバータはもちょっと電流を要求して・・・。
を繰り返します。

グラフ中央部の、「なだらかな部分」で落ち着いた場合は、電池電圧と電流が、釣り合うところで、この攻防は終了し、50Wを出します。

しかしこの攻防が、グラフ右側の「急峻に落ちる部分」に引っかかってしまうと。
電池電圧が下がりすぎて、DDコンバーターは50W引っ張れる前に、「セルソフトカットオフ電圧」に当たり、「WEAK BATTERY」となるのです。

ちなみに、電池のレート表記は、あくまで新鮮な電池での理想的な状況でのお話です。
電池の内部抵抗は充電を繰り返すたびに上がっていくため、理想と現実は、ずれていきます。
まあこんな感じに。
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みっつ目は、「交流動作」。

テクニカルMODは、DDコンバータを使って電圧制御をしておりますが。
DDコンバータは、直流ではなく、パルス/交流的に電池から電流を引っ張ります。

例えばVo Chipの出力側の波形を見ますと。
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なんかピンピン立っています。
直流だと、1直線になるはずなのですが、DDコンバータがパルス的動作をする以上、バッテリーへの要求電流も、パルス的に要求されるのです。

電池の内部抵抗は、直流でも交流でも変わらない的な、直線的ではなく、「インピーダンス」、つまり、交流時は抵抗が上がる感じになります。
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これは、電解質の応答性や、円筒形電池の場合、ぐるぐる巻きにしてある「コイル成分」など、その辺が見えてるんじゃないかな、と思います。

内部抵抗に対して、交流的なインピーダンス成分が大きいと、パルスで電流を要求した場合、取り出せる電流量が減少します。

この「パルス」は、電池の「パルス放電」の放電レートではなく、もっとはるかに高い周波数でのお話です。
 *電池のパルス放電は、大体30秒とか、60秒とか放電の、値が記載されています。
 *ここでいうパルスは、例えば上のVO Chipのグラフの場合、770KHz、つまり約1.3マイクロ秒(us)、0.0000013秒毎にON/OFFを繰り返すような、そんな時間単位のお話です。

例えば、コイル成分が大きいと思われる、26650電池を、テクニカルMODで使った場合、表示されている放電レートが確保出来ない、そんなときは、この現象なのかなー、とか思ったり。

4つ目。
んじゃ例えば「20W」に設定してても、「WEAK BATTERY」出ちゃうよ?な時は。
テクニカルMODの設定に問題があるかも知れません。

最近のテクニカルMODは、煙を急峻に出すために「プリヒート機能」がついてたりします。

例えばDNA200、温度管理時での動作
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黄色いCH1が電圧、500mV/divなので、最大3Vプリヒートでかかっています。
水色のCH2が温度、50℃/div、今回9秒間の加熱で最大170度くらいまでいってます。
紫色、CH3が電流、 2A/div、12Aからスタートしています。

注目点は、黄色と紫色、それぞれ電圧と電流なのですが、パフ時(上部「T」位置」から、1秒間(グラフの横軸は、一升1秒です)、電圧、電流共にガツンと掛かっているのが分かると思います。

これが、プリヒートです。

プリヒートは、DNA系の場合、プロファイルで設定されています。
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例えば上記設定の場合、「電力」をいくら下げても、パフ後1秒間は「75W」掛かってしまいます。
もし電力を下げても、状況が改善しない場合は、プリヒート設定を疑って見て下さい。

以上、WEAK BATTERY、つまりテクニカルMODでの電池電圧低下現象に対する、考察でした。
テクニカルMODは、メカニカルMODと違い、「DDコンバータ」が入っている為、電池に対する要求や要件が複雑化します。
現在のところ、このへんを定量的にまとめたデータは、無いみたいです。
現状、利用者側から見ると、
・プリヒートや電力設定を調整して、WEAK BATTERY出ないようにする
・電池とっかえる

という消極的?な対応をせざるを得ないのかな、と思っています。

まあ、ご参考になれば。

以上です。

参考文献:
 トランジスタ技術:ポータブル機器用電源回路の設計
 横河電機:燃料電池/二次電池の評価方法
 ソニー:Lithium Ion Rechargeable Battery Technical Information (49922780 )