こんにちは。

さて今回は。
evolv社のDNA40という基板を例に。
テクニカルMODの製作ノウハウを、オイラなりにまとめていきたいと思います。
dna40_1

 
*ちなみにオイラ、DNA40の生基板見たことありません。
 また現状、DNA40の回路図も見てないです。
 全てWeb上の画像や情報からの類推です。
 なので間違えてるかもですが、そのへん考慮の上読んでやってください。
*この記事は主にMOD製作者サイド向け記事です。
 お使いのMODを確認してModderさんに問い合わせ、とかはご遠慮ください。
 この記事は決してリファレンスではありません!。

0.DNA40の特徴
Dsc02030
 
まあ割りと言われている所は割愛して、こんな特徴があります。
・反転型の電圧制御を行っている
dna40_o
 
 アトマイザー出力は、一般的なMODと違い、アトマイザーポジティブに
 -電源が出力されます。
 単純に+とGNDを入れ替える、というお話ではなく、GNDを挟んで-電源
 が、アトマイザーのポジティブに掛かる仕組みです。
 ネガティブはGND電位です。
・低抵抗対応の高精度電流検知を行っている
dna40_p
 
 使用しているシャント抵抗が2mΩと小さく、高精度な電流検知を実現しています。
 また電流検知はCPUのアナログピンで行っておりますが、Lを介したTrの
 エミッタフォロワーを鋏み、ノイズ抑制を行っております。
・Coretex-M0+ベースの、32bitARMマイコンを使用
dna40_q
 
 最大48MHz動作が可能な、高速マイコンを搭載しております。
・FET制御はCMOSFET Driver実装
dna40_2
 
 スイッチング用FETの制御は、CMOS Driverを使用し、CPUからの直接制御は
 行っておりません。
 このため、最悪CPUがハングアップしても、危険な動作モードには陥りづらい
 構造です。
 使用しているDriverの回路上、FETは1+2の3つ使う構成となっております。
 このマイコンの搭載により、高速動作を実現しております。
 
・スイッチは抵抗分圧で実装?
dna40_r
 
 スイッチは、まあ設計がラクなアレイ抵抗プルアップ-GNDのDIピンを
 複数使用する形態ではなく、抵抗分圧を使ってアナログ入力1本に
 入力を纏めている節が見受けられます。
 これはCPUの割り込みを抑える、まずスイッチ入力があってから
 判断するというルーチンにできる、電流検知部分のアナログルーチン
 と共用してコード圧縮ができるあたりかなあ。
 対ノイズ性にも良い影響がありそうです。
 反面、各スイッチのネットが独立するため、スイッチのネットを
 まとめてGNDに接続、という運用ができません。
・最低動作電圧は3.225V
dna40_s
 
 使用しているLDOの特性上、3.225Vが最低動作電圧だと思います。
 ただし、これは50mA、温度環境-40度-125度までの広範囲を保証した場合です。
 一般的な使用環境では、3.150Vが最低動作電圧かな?。
 どのみちLDOを挟んでいるため、3V以下の動作は怪しいです。

ブロック追ってみての感想ですが、、、ぶっちゃけ「よくできてます」。
かなりセンスある人が設計したんじゃないかな、、、と思います。
ただ、それはあくまでブロック、回路のお話。
基板は自動配線臭さがちょっとあり、ベタやネット処理が甘い印象を受けます。
またマクロも一般的な形状をしており、このへんが使いづらさや対ノイズ性に
に出ているのかなと。

さて、基板を見ていきましょう。
便宜上、CPUサイドをA面、インダクタサイドをB面とします。

A面:
dna40_i
 

A面は、制御、インターフェース部分で固められています。
大物部品は画像の通り、他にスイッチとディスプレイI/Fがあります。


B面:
dna40_j
 

B面は、ディスクリートのコンバータ部分、及び電流検知周りです。
DNA40のノイズ源は、主にB面から、だと思います。

---ここまで前フリ---

では実際に、DNA40を使用する際のオイラ的なポイントを書いてみます。

1.配線の引き回し
DNA40は勿論単体では使えないため、配線を引き回すことになります。
ただし、配線の引き回しざまでは、基板から発するノイズを配線にとりつかせて
しまい、誤動作を招く危険があります。
DNA40がどう汚れているのか、考えてみます。

まず、B面のネット:
dna40_k
 
こんな感じかと。
参考回路は以下ですが、Lの使い方が違うため、この辺に工夫がありそうです。
dna40_2
 
*Lを出力とGNDにパラるやりくちは、反転型の昇降圧チョッパでのLの使い方です。
 なのでDNA40は、出力反転しているのかも知れません。

電流は、LやCなどのフィルタ回路前では、基板ネットを脈動して流れます。
なので、出力は綺麗でも、基板ネットは汚れていることがあります。
脈動時、基板ネットからは輻射が発生しますので。
で、電流が流れる方向と平行に線やネットを這わすと、そこに輻射がとりつきやすく
なります。
なので、「汚れているネットに並行に線材を這わさない」が、線材に輻射の影響を
載せないノウハウとなります。

B面のネットから、やばそうな電流方向はこんな感じ:
dna40_l
 

赤矢印に沿わないよう、線材の取り回しを工夫すれば、ノイズの影響を下げられるかも
知れません。

A面側の課題は、「電流検知フィルタ用のL」です。
dna40_i
 
このLは微妙な電圧差を扱うアナログネットの為、ノイズの取り付きに注意が必要かも
知れません。
また、基板端面に対し並行なので、線材からのノイズを受けがちです。
ここに線材を嵌め込みがちではあるとは思いますが、離してみるのもいいかも知れません。

2.配線の選択
dna40_4
 
線材は、データシートで指定されています。
dna40_3
 
これを必ず守ってください。
なお、DNA40は入出力共に、交流は扱いません。
なので、線材種は単線でも撚り線でも大丈夫です。
但し、Ni200コイル対応の為、大電流が流れます。
0.05Ωで40W掛ける場合、、、
W = V x I | V = R x I
∴ W = R x I x I
40 = 0.05 x I x I
40 / 0.05 = I^2 | 800 = I^2 | I = 28A
28Aも流れます。
なので、特にアトマ側は、イイ配線を入れてもいいかも知れません。
個人的には、バッテリーとアトマの配線は単線、スイッチは撚り線がオススメかなあ・・・。

3.部品の耐久性と、とりまわし
DNA40は、実装テクノロジーは「リフローリフロー」です。
dna40_5
 
生基板にペースト半田をプリントゴッコ的なやりくちで印刷し、その上に部品を載せ、オーブンで
こんがり焼く、を表裏2回繰り返しています。
多分A面を最初に、B面を後にやってるんじゃないかな?。
またプロファイルは無鉛で運用しているかと。

表面実装部品のうち、体積があるものは、相対的に半田での固定が効きづらく、ポロッという
原因となります。
特に部品高さがあるA面のL、これはやばいです。
対策例としては、、、
・ポリイミドテープで応力分散
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・ボンドを基板間に流して固定
dna40_7
 
あたりがイケる気がします。
ボンド使う時は、基板を侵す可能性と、セラミック部品であるLに対して影響を与える可能性がある
為、まずは捨て基板などで確認を!。

これは他の部品にも言えます。
とりあえず不安なら、ポリイミで保護してしまうのがアリかも知れません。
但し、発熱には気をつけて。
DNA40はCPU部分より、B面側のFETが発熱する可能性があります。
ポリイミは熱的にも絶縁をしてしまいます。
また発熱があるため、ホットボンドの使用はトラブルを招く可能性があります。
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使用には細心の注意を!。


4.輻射対策
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輻射とは、不要な電波を出すことです。
DNA40は大電流のスイッチングを行うため、結構輻射デカいと考えてください。
未対策では、ペースメーカーなどの致命的な電気製品だけではなく、ノイズに強いはずの
車とかも誤動作を起こさせるレベルかと。

実際の確認は、電波暗室でバイログアンテナやホーンアンテナを使い、高い周波数を扱う
製品でなければ、まあ1GHzくらいまでターンテーブル回してスペアナで確認します。
自社設備でも時間2万とか取られる素敵な設備なので、個人では確認は無理!。
・・・でもありません。

スペアナ機能があるオシロ、もしくは普通のオシロでも、電界プローブや磁界プローブを
使うことで、輻射を確認することができます。
プローブはかっこいいものではなく、ただプローブの先端をショートしてるかコイルつなげる
かな感じ。
dna40_9
 
詳しくはぐぐってみてくださいな。

まあ、オシロすら無い場合、予防的な対策で凌ぐしかありません。

輻射対策は、主に「封じ込め」と「カレントループの最適化」「アンテナの抑制」です。

封じ込めは簡単、要はシールドしてしまえって感じ。
dna40_d
 
輻射を噴いている部分をシールドしたり、基板やブロック全体をシールドしてしまうのが
対策の基本です。
dna40_b
 
MODの安全性担保なら、例えば基板を収めるところを銅とポリイミで囲ってしまったり、
筐体全体を金属で作る、など。
DNA40が自家中毒で誤動作する場合、B面のLやFET部分にシールドを施してみるのが
いいかも知れません。

カレントループの最適化は、インピーダンスの調整要素です。
ネットのインピーダンス最適化に関しては、素人じゃ無理だと思います。
パスコンの定数や回路の引き回しのお話なので・・・。
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唯一イケそうなのは、線材の引き回しとGNDの強化です。
DNA40は、基板表面でGNDが分断されており、内層のGND層でGND確保しています。
具体的には、アトマ側にあるGNDと、B-、及びアトマとバッテリーのネガティブを強固に
接続してしまうのがいいかも知れません。
接続手法もポイントにこだわらず、例えば基板のGNDとB-の配線でシャントさせると
変化する可能性もあります。

アンテナの抑制は、簡単だけど難しいです。
dna40_e
 
輻射の特徴として、浮いている金属に輻射が取り付き、そこに偶然定在波が立ったり
すると、取り付いた金属部分がアンテナとなって効率良く輻射をばらまくことが
往々にしてあります。
片側がGNDに落ちてる金属も要注意です。
後述の静電対策とバトることになるのは、このへんだったりします・・・。
また、封じ込めのシールドが、逆効果を生むことも、これ要因であったりします。
「浮いた金属はなるべく作らない」が、設計の基本かも知れません。
特にMODの場合、加飾用金属の取り扱いが難しいかと。
例えばデジカメの場合、外装のマグボディにわざわざスタッドを立てて、GND導通を
担保したりします。
ちなみに、輻射を抑える素敵な部材もあります。
NECトーキンのバスタレイドなど、輻射対策部品です。
dna40_n
 
もし輻射が収まらない場合は、こいつの使用を検討してもいいかも知れません。

5.静電対策
dna40_f
 
静電気は、誤動作の要因となります。
こんな装置で確認します:
 dna40_g
DNA40の場合、静電対策部品の実装が甘いです。
ブロック的にはかなり、工夫が見られますが・・・。
これには理由があり、静電対策は基板単体で行うものでは無いからです。
静電気は、MODの開口部から侵入します。
金属部品にとりつき、回路かGNDに流れていきます。
樹脂部品は誘電率が低い為、「樹脂同士の隙間」部分からの静電気侵入を考慮します。
一般的に静電気は、侵入する長さが取れれば取れるほど、減衰します。
電気製品バラしたときに、スイッチに大きめのプラスチックの「帽子」がついている
ことがありますが、これは静電対策の可能性があります。
基本的に静電気は、しっかりしたGNDに流せば安全です。
なので、開口部にわざと、でかいGNDを作ることで、静電対策を行う事ができます。
で、一番デカい開口部、それは「ディスプレイ」です。
ディスプレイ裏には、GNDに接続した銅箔など貼っておくと、強力な静電対策になるかと。

6.動作確認と故障モード
DNA40の故障として有名なのが、「ディスプレイバグ」があります。
dna40_h
 
これバグじゃなくて、自家中毒じゃないかな、とおいらは予測しています。
また、Driverが別なため、CPUがこっそり再起動しても動作してるように見えます。
どのみち安全係数を削っているサインなので、なるべく起こさないような取り回しを
研究してみるのが楽しいかも知れません。
また、DNA40には様々なバージョンがあります。
オイラが持っているDNA40MODも、こんなに波形が違います:
DS1Z_QuickPrint7
DS1Z_QuickPrint9

 

どうしてもDNA40で症状が収まらない場合は、別ロットのDNA40を導入してみるのも、
問題解決になるかも知れません。

まあオイラが覚えてるノウハウは、こんな感じです。
まあMOD製作のご参考になれば幸いです。

以上です。